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2004年度事例研究会

【第1回】「JQAは経営の進め方の宗教である」/雪竹社長

 2004年度の第1回経営品質事例研究会が11月24日、秋田市のシャインプラザ平安閣秋田で開かれ、会員企業の代表者や自治体・大学関係者など55人が参加した。同研究会は主に日本経営品質賞に輝いた企業のトップを招き、そのノウハウを学ぶことが目的。今回は2002年に中小規模部門受賞のカルソニックハリソン社(宇都宮市)の雪竹泰三社長が1時間半にわたり講演した。

講演するカルソニックハリソン社の雪竹社長
  講演に先立ち秋田県経営品質協議会の寺川健児運営副委員長が開会あいさつ。引き続き雪竹社長が「カルソニックハリソンにおける経営品質向上活動」と題して講演。はじめに同社の企業紹介のビデオを上映、同社の品質活動への取り組みについてプロジェクターを使って丁寧に説明した。

 雪竹社長は経営ビジョン、経営方針に顧客本位や社会との調和、社員重視、独自能力の発揮などを重視。特にビジネスパートナーとしてのお客様は「天・地・人」の3段階に区分、サービス強化にまい進していることを披露。つまり「天」とは全世界の車のユーザー、「地」は自動車会社、「人」は製品を直接納入しているお客を指す。

 JQAを始めたきっかけについては、前社長からの引継ぎ事項で、既に活動がキックオフされていたこと。アセッサーコースで研修が進むにつれてJQAの考えに基づいた経営が大切だと確信した。また、経営の「あり様・あるべき姿」が体系的に習得した。

講演の後に設定されたパネルディスカッション。会場から質問が相次いだ
 JQAの“正体”については、まさに経営の進め方の宗教であり、TQCやISOなど従来からある業務、管理改善手法の上位に位置する世界標準とも言うべき手順書と力説。一方で経営の結果には直ちに効果は出ないものの、辛抱強く取り組むことによって磐石な経営のDNAが作れるとも説いた。

 最後にJQAを始める注意事項については、まずトップあるいはNo2の幹部が仕組み等をよく理解、覚悟の上で活動に入る。中途半端では危険。経営幹部は全員がJQAを学ぶことが決め手である。従来の業務管理・改善とはバッティングしないから、平行して進めるのが良い。実行のタイミングについては、財務成績が水平か上昇の時にやることが肝心と強調した。

カルソニックハリソン社のプロフィル
 カーエアコン用コンプレッサーを製造する日米合弁会社。設立は1986年5月。資本金17億5千万円、社員数281人(2004年10月現在)。売上高は114億円(2003年度)。
 製品の納入先は日産、ルノー、BMW、OPEL等で、約6割が輸出。
 納入先である自動車部品メーカーの顧客満足のみならず、その先の自動車メーカーやユーザーの満足度まで測定、従業員や仕入先まで含めた全方向の顧客満足度経営を実現。その経営姿勢は、日本経営品質賞への取り組みの中で培われた。


【第2回】「マーケットは自ら提案し開拓するもの」/石原社長

 2004年度秋田県経営品質協議会の第2回事例研究会が3月23日、秋田市のシャインプラザ平安閣で開かれた。まず、主催者側を代表して佐野元彦経営品質協議会運営委員長があいさつ。続いてIBMビジネスコンサルティング・サービスの明道弘政事業部長が各県の品質協議会賞委員会の現状について説明、経営品質「カテゴリー5」の個人と組織の能力向上について解説した。

パネルディスカッションで発言する石原社長(左)。右は明道部長
 今回のゲスト・スピーカーは、花卉小売・卸売業界ではカリスマ的な存在として知られる「風花」(本社・長崎県)の石原和幸社長。「ゼロからの発想」と題して約1時間半にわたり講演した。

 石原社長は花の路上販売からスタート。現在は九州を主体に多店舗展開、事業内容も小売・卸はもとより、緑や環境をキーワードに関連事業を推し進めている。企業理念(コンセプト)は「花を売らずに夢を売る」とユニークで、花を物として提供するのではなく、消費者に対しては花で感動するシーンを提案し続けている。一方では花を通しての社会貢献も重視。具体的には各店舗では常に季節感を表現、街の中に花や緑のシーンを提案。ガーデニング事業を通じては街の景観、住環境を花・緑であふれる空間を提案している。

 石原社長はブランドの確立の重要さ、世界をターゲットにした市場開発の必要性も力説した。昨年5月には英国で開催された「チェルシー・フラワー・ショー」に出展、世界第2位に位置づけられる「シルバーギルトフローラ賞」を受賞。また、企業コンセプトをPRするためテレビ出演にたどり着いたエピソードなど披歴した。これらは同社のブランド形成に大きなインパクトがあったと強調、いずれも苦労した末の体験だけに説得力は十分。特に「マーケットは与えられるものでなく、自ら提案し開拓するもの」との発言には約50人の参加者も大きくうなずいていた。

 同社はブランドの確立や市場への浸透によって業績もアップ。昨年6月には資本金も従来の倍の5千万円台に増額、郵政省やイオングループとも業務提携している。

 最後に顧客に対するサービスとは、いかに消費者の「感動」を「悲鳴」に変えることができるかがキーワード。社員教育については手の届く目標を設定、しかも努力した分それが給料に反映されるシステムづくりが肝心。会社の方向性については「世界一」を目標とした社員へのメッセージが重要と訴えた。

株式会社「風花(かざはな)」の企業プロフィル
代表者:代表取締役社長 石原 和幸
所在地:長崎県西彼杵(そのぎ)郡長与町吉無田郷859-5
TEL:095-883-8686 FAX:883-8634
創 立:昭和62年7月
社員数:30人
事業内容:花卉小売・卸売業、フラワー教室業務、ガーデニング設計・施工業務、ガーデニング資材輸入・販売業務、フラワーデザイン、ガーデニングに関するコンサルタント及びディスプレイ業務、花卉に関するイベント企画、実施業務、喫茶店の経営業務


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