秋田市旭北錦町1-47 秋田商工会議所 内
Phone:018-866-6676 Fax:018-862-2101

 
 
秋田県経営品質賞

表彰理由

 大館桂工業株式会社は、創業から53年、秋田県北部地域を中心とした公共工事を中心に多様多種な施工を担当、1958年6月かつて分社した2つの会社が段階を経て合併し、地域におけるトップ企業として現在に至る。地方の中小規模の建設業には珍しく、管・水道施設工事、電気工事を始め、建設業法上の中心工種10工種の施工技術を有しており、中でも鉄道信通工事に関しては北東北3県ではシェアが高く、なくてはならない施工会社である。合併以降も、管・水道施設工事、電気工事、鉄道信通工事を核とする3つの事業部がお互いを切磋琢磨するライバルのような存在となってこれまで事業を成長させてきた。 しかし、昨今、公共工事需要は年々減少化傾向にあり、改修工事においてもそのほとんどが登録資格と請負金額による競争入札となって、従来の営業手法が通用しないばかりか、収益の悪化も避けようがなく、公共工事に多くを依存した事業構造にあっては、その環境は日一日と厳しさを増している。こうした中、当社は公共工事依存の事業体質から脱却し、新たに民間でのリフォーム事業を立ち上げるとともに、公共事業においても管・水道施設工事、電気工事といった工事種別の事業体制から、顧客セグメントによる事業体制に組織再編し複合的な施工提案〜アフターサービス体制の充実によって、「信頼される建設(ライフライン)の総合病院」になるという経営革新に現在取り組んでいる。

【リフォーム事業における「大館桂工業」プランドとしての施工品質の実現】
 ●LIXILから提供される販売促進ツールや学習の機会を積極的に活用して民間事業のノウハウを習得し、イベントなどを通じて需要把握している。また、これまでの公共工事で培われた「大館桂工業」ブランドとしての施工品質を独自能力として民間工事においても実現するために、各店長が引き渡し前の全数点検を行っている。加えて、LIXILが主催するCSアンケートを全顧客に実施してその評価を収集するとともに、長期にわたって定期訪問を行いアフターフォローに努めている。こうした「大館桂工業」ならではの活動によって、顧客のリピート率を高め、リフォーム事業を短期間に事業の柱に育てている。

【事業部体制の構造改革による情報共有と積算能力の向上による公共工事事業量の維持】
 ●公共事業の減少化傾向を受けて、これまでの事業成長の原動力でもあった事業部間の競争意識による組織運営を見直し、営業部・設備部という機能マトリックス組織構造に改編して公共工事の入札条件など要領を漏れなく収集・共有して入札状況の変化に対応している。また、重要となる入札条件である登録技術者を計画的に確保するとともに、積算能力や採算見通しの精度を向上させることで厳しい入札価格を提示しながらも、安定した利益確保を図っている。こうしたことから、厳しい事業環境にありながらも、公共工事の売上高を一定以上に維持しながら確実な利益率の改善を行い、自己資本比率を高めている。

【日常での地域社会との良好な関係づくりと、非常時を想定したライフライン対応体制の整備】
 ●上下水道などの公共工事にあたって、現場責任者の判断で近隣住民への説明会や工程連絡を行い、安全確保を図るとともに、日常的に地域社会との良好な関係づくりを行っている。また、会社契約の携帯電話を社員に配布し、工事を行った客先に緊急連絡先を通知することで、自然災害など非常時のスピーディな情報ネットワーク体制を確立するとともに、地域の応急対策基本協定に参加してライフラインの維持・復旧への協力に積極的に取り組んでいる。こうした事業内外の活動を通じて得た地域社会から信頼感を、公共事業のみならず、民間でのライファ事業活動の展開に活かしている。

【施工現場での確実性と創意工夫を担保する仕組みと培った知識・ノウハウの組織的な活用】
 ●顧客との打ち合わせ内容を「打ち合わせ記録書」に記録し、施主の要望を確実に施工に反映することに加え、現場代理人の臨機応変な対応や創意工夫を誘発する目的から「プラス10%のお節介」という行動指針を監査重点項目に設定するとともに、現場での業務マニュアルをページ数の削減方向で改定、「工事完成報告書」で創意工夫した結果を報告し社内で共有化することを奨励している。更にこうした施工現場での基幹プロセスを支援する目的で営業部管理課が引渡し前に社内検査によって厳格なチェックを行い問題の未然防止を図るとともに、法律で義務づけられた安全衛生委員会の活動範囲の拡大や設備部課長会でのコミュニケーションによって、施工に関する技術・ノウハウの組織的な活用を図っている。これらの取り組みが相互に絡み合って公共・民間や工事種別を越えた部門間連携を活性化させ、内部委託件数がここ4〜5年間に倍増するなどの成果につなげている。


ページトップへ